ブログをご覧の皆様こんにちは!
鹿児島県出身 「徳之島ブロガー」のとし( @kedokumango )です。
さて、植物の栽培で受粉する際に「昆虫」を用いることは、皆さんも知っていることだと思います。
私のマンゴー園でも受粉には、昆虫を用いています。
マンゴー栽培での受粉に用いる昆虫で代表的なのが「みつばち」と「ハエ」となっているのですが、この「みつばち」に関しては、販売元に注文さえすれば購入することができますが、「ハエ」を用いたいとなった場合は、自分自身で培養して育てる必要があります。
本日のブログでは、どのようにして「ハエ」を培養するのか、その方法について紹介したいと思います。
この記事の目次
「ハエの培養」に用いる容器
正直、「ハエ」という言葉を見るだけでも不潔と感じてしまうのではないでしょうか。
私もマンゴー栽培を始めてすぐの頃は、イメージ的に悪いものを触りたくない気持ちもありますし、できるだけ避けたいという願いがありました。
そこで「みつばち」のみに受粉を頼りたいと考えたこともあったのですが、「みつばち」は、天候が良い日しかビニールハウス内を飛び回ってくれません。そう「曇天」のような天気では、巣箱の周辺でうろちょろするだけで、花粉を集めに飛び回らないのです。
そこのところを「ハエ」と比較すると、「ハエ」は、どんな曇天でもビニールハウスの中を飛び回ってくれますし、何より「ミツバチ」ほど飼育に関してシビアでは、ありません。
また、最近の日本では、農薬の影響で「みつばち」が減少しており、「みつばち」の値段が上昇しており、私がマンゴー栽培を始めた頃と比較しても、かなり高額なものとなっています。
そうなると、安価で培養でき、少々天候が悪くても飛び回ってくれる「ハエ」に頼った方が良いということになるのです。
そこで、「ハエ」に関して避けてばかりもいられなくなり、今までの経験で、一番匂いの発生を抑えて、かつ効率的に「ハエ」を培養しやすい器具というのが、こちらとなります。
これは、皆さんも一度は、目にしたことがあると思いますが「衣装ケース」です。
ホームセンター等で買ってきた衣装ケースの蓋をくり抜いて、そこへバーベキュー用の金網を針金で固定したものとなっています。
こちらが、蓋の部分を加工した箇所を接写したものとなっています。
「ハエ」の培養には、まず「ハエ」を集めるエサを使用します。そのエサに「ハエ」のみ寄ってきたら良いのですが、時折、カラスが来てしまったり、野猫がやってきたりして、「ハエ」の為のエサを食べてしまうことがあります。
そこで、この衣装ケースの中に「ハエ」を集める為のエサを入れておけば、狙いの「ハエ」は、網の隙間から中に侵入し、カラスや野猫は、網があるので、中のものを取れないっていうのが狙いです。
私の園では、この方法で「ハエ」を培養するようになってから、高確率で「ハエ」の培養に成功しており、他のマンゴー農家からも培養したものを分けて欲しいと依頼があるほどですので、実績のある装置となっています。
「ハエの培養器」のセットについて
さて「ハエ」を培養するに当たって、これから「ハエ」がおびき寄せる魚のアラを設置するわけですが、魚のアラばかり設置していては、「ハエ」が産卵した「うじ虫」を育てる場所も準備しなくてはなりません。
そこで、「うじ虫」が潜んだりする場所として私が用いているのが、「堆肥」となります。
昔の堆肥でしたら、匂いが気になるものが多かったですが、最近の熱処理された完熟堆肥でしたら、さほど気になりません。
堆肥でしたら、農協やホームセンターなどで簡単に入手することが可能ですし、私は気に入っている材料となっています。
こちらが私が使用している「堆肥」なんですが、ネーミングが「農協堆肥」となっているだけあって、農協から購入しました。
私の住む鹿児島県の離島「徳之島」は、販売価格へ送料も含まれていますので、本土の方と比べると物価が高くなっておりますが、それでも15kg入りで350円ほどで購入できるので、お財布にも優しいものとなっています。
この「堆肥」は、産卵された「うじ虫」を飼育するところとなりますので、先程紹介した、培養器の底に5cm位の厚さとなるように敷き詰めます。
ちょうど、こんな感じです。
こちらの堆肥の上には、さらにエサ箱を設置をしますので、できるだけ平らになるようにしておくと、エサ箱が傾いたりしないので良いでしょう。
こちらの写真が、堆肥の上にエサ箱を設置した様子です。
このエサ箱に「ハエ」をおびき寄せる「魚のアラ」などを設置します。
また、このエサ箱ですが、発泡スチロール製のものがベストです。
ダイソーなどの100円ショップで代用となるプラスチック製の容器を購入して試したことがありますが、プラスチック製だと、エサ箱の中で産まれた「うじ虫」がプラスチックの容器を登ることができずに、外に出られずに堆肥のベットへ移動することができません。
しかし、これを「発泡スチロール製」の容器を用いることで、その問題は、解消されエサ箱の中で産まれた「うじ虫」は、発泡スチロールの壁を昇り、居心地の良い堆肥へ移動していくことが出来ます。
「うじ虫」に与えるエサは「ドックフード」が1番!
ハエを集めるのには、「魚の頭」を使うことがベストで、この魚の頭も「目」があると集まった「ハエ」が産卵する場所として最高の環境となるでしょう。
私の経験では、「目」の次に産卵する場所として、魚のエラが挙げられますが、もしスーパーマーケットで魚のアラを購入するのであれば、エラは、取り除かれているでしょうし、目のついた頭の部分を狙って購入すると良いでしょう。
魚種としては、何でも良いのですが、生の鯖(サバ)があると匂いも発生し易いですし、価格も安いので最高じゃないでしょうか。
私の地域では、生の鯖(サバ)の頭は、入手することが難しいので、カンパチの頭などが安く販売されているときに、購入して使用するようにしています。
ただ、ハエが産卵し「うじ虫」となると、この魚のアラも食するのですが、この魚のアラばかり用いていると、魚のアラがいくらあっても足りませんし、魚の腐敗臭が大変なものとなってきます。
そこで、魚のアラは、ハエを集める為の材料という考え方をして、ハエが産んだ「うじ虫」には、他のエサを与えるのがベストとなります。
そこで有効なエサとなるのが、ドックフードとなります。
このドックフードですが、一晩ほど水に浸しておくと、ふやけて柔らかくなります。
その柔らかくなったドックフードを与えるようにすると良いです。
私の場合は、このドックフードの上に魚のアラを設置したりしますが、魚のアラのみ設置しておいて、「うじ虫」が確認できたら、その都度、ドックフードを足すといったやり方でも良いと思います。
さすがに魚のアラを載せた状態で写真を撮って公開するのもどうか?と思うところがあったので、イメージとしてドックフードの上に魚のアラが載っているものと考えてください。
エサを載せたあとにこのように金網を固定した蓋を被せると、野猫などにエサを取られないって仕組みになります。
私も最初の頃は、野猫やカラスにエサを持っていかれたものですが、このように培養器を作ってハエを飼育するようになってからは、そのような被害はなくなりました。
製作も簡単ですし、おすすめな「培養箱」となっていますよ!
「ハエの培養器」を雨に濡れないように設置する!
さて「ハエの培養器」について仕掛けとエサについての紹介が済んだところですが、この培養器の設置場所についても紹介したいと思います。
その前に、ハエの生態について少しばかり勉強しておきましょう。
ハエは、成虫のときは、湿度を好みますので、魚のアラなども毎日のように少しずつ水をかけて湿らして置いた方が、ハエが卵を産み付けやすくなります。
しかし、卵からかえってから「うじ虫」となった状態では、水分は大敵となります。
理由として「うじ虫」が水で溺れ死んでしまうからです。
そこで、この培養器を設置する場所ですが、山裾などのハエがいそうな場所に設置するのですが、屋根がある構造の濡れない場所に設置する必要があります。
私は、こういった感じで設置しています。
マンゴー栽培を行なうビニールハウスの横に設置しているのですが、魚のアラを入れて2日もすれば、培養器の中にハエが入って飛んでいるのが確認出来ましたよ。
そうそう、この培養器は、中のエサを野猫などから守る仕組みとなっていますが、そのままでは、転がってしまったりするので、動物がさわっても動かないようにブロックなどで重しをしておくと良いでしょう。
『番外編』ハエの培養で私がチャレンジしていること
さて、ハエを培養するときですが、やはり「魚のアラ」を用いることに抵抗がある方がいるかもしれません。
私も「魚のアラ」を手配してくるのは、結構な手間もかかりますし、効率的に「うじ虫」をわかすためには、どのようにしたら良いものかと考えているのですが、実は、こんなものを発見しています。
これ、ワカサギ釣りや渓流釣りで使用する「白さし虫」という釣りエサとなります。
この「さし虫」なんですが、何の幼虫だかわかりますか?
この「さし虫」なんですが、実は、ハエの幼虫なんですよ。
そこで、私は、この「さし虫」を成虫まで育てたら、もしかして昆虫受粉で使用できるハエにならないかと実験しているところなのです。
まだ、効果の方を確認できておりませんが、わかり次第にブログで紹介したいと思いますよ!
本日のまとめ
本日紹介した「ハエの培養」ですが、同じような装置を作って、ハエを集めるときは、湿潤状態にして「うじ虫」のときは、乾燥状態を確保できるようになれば、簡単に「ハエ」を準備することが可能です。
ただ、ハエを集めるために「魚のアラ」を用いますので、それなりに匂いを発します。
人様の迷惑にならない場所で培養する必要がありますよ。
なお、ハエの培養にかかる期間ですが、ハエが産卵してから「うじ虫」へかえり、そこから蛹(さなぎ)となり、成虫として飛び立つまでに2週間必要となります。
よって、3月1日から受粉用の昆虫が欲しいと思ったら、このハエの培養器を2月15日頃には、設置してハエを集めておかないとハエの準備が間に合わないという状況になってしまいますので、そのあたりは、注意が必要です。
普通のご家庭では、まず「ハエの培養」など必要ないことだと思いますが、もし必要な場面があるとすれば試してみるのはいかがでしょうか?
本日のブログは、ここまで!
それでは、また明日~