本日は、マンゴーの憎きの害虫であります「アザミウマ類(スリップス)」について記録しておきたいと思います。
マンゴーの栽培は、ビニールハウスで行うわけですが、人間に家というものが必要なように昆虫にとっても屋根付きの施設は、居心地の良いものなのでしょう。色々な昆虫が飛び込んできます。
本日からは、数回にわけて、そのようなマンゴーの害虫についてまとめていきたいと思います。
今回も「鹿児島県農業普及課」から頂きました資料を参考としております。
アザミウマ類(スリップス)
1 被害の様子及び生態
- 被害は、新梢、幼果に見られる。被害葉は、奇形・褐変し、場合によっては、落葉する。
- 新葉の被害は、ホコリダニの被害と似ているが、ホコリダニの被害葉が表側にカールする点で異なる。
- 成虫(0.8〜0.9mm)は、羽が有り飛ぶが、幼虫(0.3〜0.8mm)は、羽がなく歩行する。
- 成虫は、マンゴー園周辺にある樹木の新芽、野の花等に数多くいる。ハウスには、頻繁に飛び込むが、餌(若葉、花、花蜜、幼果等)がないと被害は、ほとんど無い。
- 成虫と卵、幼虫、サナギ(樹皮の裂け目や土壌に居る)が混在することにより、薬剤効果が得られにくく、被害が長期にわたる場合がある。
- 発育は、9.7℃以上で生育サイクルは、温度により日数が異なる。
2 防除方法
「耕種的防除方法」
- ハウス周辺の野の花等の発生源や繁殖場所を無くす。
- 散乱光マルチ、防虫ネット等の利用。
ただし、使用法によっては、効果は、限定的。
「薬剤防除方法」
- 出蕾〜開花期は、天敵(スワルスキーカブリダニ)防除を基本とする。
- 化学合成農薬は、抵抗性がつきやすい。発生後の防除は、剤の系統を代えてローテーション散布する。
天敵防除
剤の系統 農薬名 希釈倍率 使用時期 スワルスキーカブリダニ スワルスキープラス 1〜4パック/樹 発生直前〜初期
保温開始期(出蕾70%)使用時期、程度
- 保温開始して、最低温度が14℃以上になってから設置する。
- 枝の先端がふくらみ、花がみえたら速やかに設置する(70%出蕾で保温を開始した時点を目安とする)。設置が遅くなっても、開花初期までに設置する。
- 10アールあたり200パックを目安とする。樹の大きさで設置量を変える。
(設置例:幼木は1、若木2、成木3〜4パック)
- 農薬による影響を避けるため、使用前・後は、影響の少ない農薬を使用する。
化学合成農薬
適用病害虫 農薬名 希釈倍率 使用回数時期 スワルスキーへの影響 合ピレ系 アザミウマ類 アーデント水和剤 1,000 年2回収穫3日前 × 60日以上 アザミウマ類 アザミバスター水和剤 1,000 年2回収穫3日前 × 60日以上 チャノキイロアザミウマ ロディー乳剤 1,000 年2回収穫14日前 × 60日以上 ネオニコ系 アザミウマ類 アクタラ顆粒水溶剤 2,000 年2回収穫14日前 × 約7日 アザミウマ類 ダントツ水溶剤 2,000〜4,000 年3回収穫7日前 × 約7日 アザミウマ類 モスピラン顆粒水溶剤 2,000 年2回収穫35日前 × アザミウマ類 アドマイヤー顆粒水溶剤 10,000 年2回収穫14日前 × 約7日 チャノキイロアザミウマ アドマイヤー水和剤 2,000 年2回収穫14日前 × 約7日 チャノキイロアザミウマ アルバリン顆粒水溶剤 2,000 年3回収穫前日 ◯ チャノキイロアザミウマ スタークル顆粒水溶剤 2,000 年3回収穫前日 ◯ ニコチン性アセチルコリン チャノキイロアザミウマ スピノエース顆粒水和剤 5,000 年2回収穫3日前 × 約14日 ピロール系呼吸阻害 チャノキイロアザミウマ コテツフロアブル 2,000 年2回収穫14日前 × 約14日 有機リン系 チャノキイロアザミウマ スプラサイド乳剤40 1,500 年2回収穫45日前 × 60日以上 アミノキナゾリン系 チャノキイロアザミウマ コルト顆粒水溶剤 2,000 年3回収穫前日 × 7日 ボーベリアバシアーナ乳剤(発生初期) チャノキイロアザミウマ バダニガードES 1,000 − × 1日
夏場の高温期に発生してしまうと、爆発的に増えていく「スリップス」であります。その生態を良く調べて、効果的に駆除したいものでありますね。次回は、「マンゴーキジラミ」についてまとめたいと思います。
本日のブログは、ここまで!
それでは、また明日~
- ハウス周辺の野の花等の発生源や繁殖場所を無くす。